退職理由を伝えるポイントとは?円満退職のためのコツを紹介

人間関係のトラブルや待遇への不満など、会社を辞める理由は人によってさまざまです。上司や転職先に退職理由をどう伝えればいいのか、悩んでいる方も多いのではないでしょうか。

そこで本記事では、転職を考えている方へ円満に退職するための具体的なポイントを紹介しています。退職理由を伝えても辞められないときの対処法や、転職の面接時に退職理由を聞かれたときの答え方のポイントも解説しているので、ぜひ参考にしてください。

退職理由を伝える基礎知識

まずは、退職理由を伝える前に知っておきたい基礎知識を解説していきます。

退職を伝える流れ

円滑に退職できるように、退職の流れを把握しておきましょう。会社に退職を伝える前後の流れは次のとおりです。

  1. 就業規則をチェックする
  2. 退職の意思を上司に伝える
  3. 退職届を提出する
  4. 後任への引き継ぎを行う
  5. 社内や取引先に挨拶する
  6. デスクやロッカーを整理する
  7. 退職関係の書類を受け取る
  8. 最終出社日に必要なものを提出・返却する

まずは就業規則を確認して、退職に関する特別な定めがないか確認してください。退職届の提出が必要な場合は、退職理由を記入して提出します。担当していた仕事は、後任へしっかり引き継いでください。

最終出社日までに、身の回りの整理やお世話になった人への挨拶を行います。会社から支給されている制服や備品は、最終出社日にまとめて返却しましょう。会社から受け取る書類は重要なものが多いので、手元にない場合は会社の担当者に確認しましょう。

伝えるタイミングは退職の1~3ヵ月前

退職することを伝えるタイミングは、退職する3ヵ月前が目安です。引き継ぎのことを考えて、遅くとも1ヵ月前には伝えてください。円満退職を目指すなら、繁忙期や人事異動の時期は避けましょう。

なお、雇用期間の決まっていない正社員の場合は、退職の2週間前までに伝えることが法律によって義務付けられています。タイミングを間違えると、自分の希望するタイミングで退職できなかったり、引き止めにあったりする可能性があるので注意してください。

よくある退職理由の例

ここでは、退職理由として多いものを例として紹介します。

  • 他の業界に興味があり挑戦したいと思った
  • 自分の強みや資格を活かせる分野に挑戦したい
  • 家族と過ごす時間を増やしたい
  • 体調不良なので治療に専念したい
  • 家族の介護が必要になった
  • スキルアップの勉強に専念したい
  • 家業を継ぐことになった

転職理由として多いのが「挑戦したい仕事が他にある」です。夢を叶えたいという前向きな理由なので、上司にも応援してもらえる可能性があります。体調不良や親の介護、結婚や出産の場合は、そのまま伝えましょう。

退職理由をうまく言葉にできないときは転職エージェントに相談

退職理由がうまく言葉にできない場合は、転職エージェントに伝え方を相談してみるのもおすすめです。転職エージェントを利用することには、次のようなメリットもあります。

  • 無料で利用できる
  • 最適なキャリアプランを提案
  • 転職先の企業の内部情報の入手 
  • 非公開求人の紹介

まずは、転職エージェントに退職に至った経緯を隠さずに話してくださいエージェントは転職のプロなので、現在勤めている会社の円満退職をサポートしてくれます。

転職の面接で退職理由を伝える2つのポイント

中途採用の場合は、面接で前職の退職理由を聞かれるケースが多いです。転職面接で退職理由を聞かれたときは、次の2つのポイントを意識してください。

  • キャリアプランと関連した内容にする
  • 会社都合の退職理由はそのまま伝える

転職理由の伝え方で、面接官に好印象を与えて転職を有利に進めましょう。

キャリアプランと関連した内容にする

面接官が転職理由を聞くのは自社との相性を見極めるためなので、キャリアプランとの一貫性を示すことが大切です。これからどのような働き方をしたいのか、キャリアプランと整合性のとれた理由を用意しましょう。

ネガティブな言葉は相手に悪い印象を与えてしまうため、面接で前職の不満を口にするのはNGです。面接官が納得できる転職理由を伝えることが大切です。

会社都合の退職理由はそのまま伝える

自分の意思とは関係なく会社の都合で退職することになった場合は、不可抗力な問題なので理由を隠さずにそのまま伝えてください。会社都合退職とは次のようなケースを指します。

  • 会社の倒産
  • リストラ
  • 事業撤退による解雇
  • 派遣の雇い止め
  • 希望退職制度の利用
  • 給与未払い
  • ハラスメント被害

また介護や育児、結婚などの自己都合退職の場合は、履歴書に「一身上の都合」と記入しておくとよいでしょう。

退職理由を伝えても辞められないときの対策

人手不足などの理由により、退職理由を伝えても辞めさせてもらえない場合もあります。そんなときは、最終手段として次の対策を実行しましょう。

  • 退職届を内容証明郵便で郵送
  • 直属の上司以外に退職を相談
  • 退職代行を利用

引き止めにあった場合の対策を詳しく解説していきます。

退職届を内容証明郵便で郵送

退職届を上司に受け取ってもらえないときは、提出した証拠になるため内容証明郵便で送りましょう。退職届を内容証明郵便で送る手順は次のとおりです。

  1. 退職届を作成する
  2. 必要な書類を用意する
  3. 退職届をコピーする
  4. 郵便局から内容証明郵便で送る

退職届は、郵便局と自分が保管するための退職届のコピーを2部用意してください。郵便局の窓口で、内容証明郵便を依頼して料金を支払います。

内容証明郵便は1通の文書のみ発送可能なので、もし添え状や返信用の封筒などを送付する場合は別途発送してください

内容証明郵便で退職届を郵送するときは、会社に連絡する必要はありません。退職届とわかっている場合は受取拒否される可能性があるからです。マナーよりも退職届を受け取ってもらうことが重要です。

直属の上司以外に退職を相談

退職の申し出を直属の上司以外の人に行うのはマナー違反ですが、拒否されてしまった場合は人事部や上司の上長に相談してください。直属の上司が話を聞いてくれない場合は、上司以外の人に相談しても問題ありません。

上司が退職を受け入れてくれないのは法律違反にあたります。もし辞めさせてくれなければ、諦めずに他の人を頼りましょう。上司以外の人も信用できない場合は、労働基準監督署への相談も検討してください。

退職代行を利用

事情があって自分で交渉するのが困難な場合は、退職代行の利用を検討しましょう。退職代行とは、労働者の代わりに業者が退職の意思を伝えてくれるサービスです。特に引き継ぎの必要がなければ、そのまま会社を辞めることができます。

退職代行業者が代行できるサービスの内容は次のとおりです。

  • 退職の事務手続き
  • 会社への連絡
  • 退職後のアフターフォロー

提供できるサービスの範囲は代行業者によって異なります。また、上司と顔を合わせることなく退職できることは大きなメリットですが、悪質な業者にあたるリスクもあるため、すべてを理解したうえで利用を検討しましょう。

退職理由で気になる疑問

最後に退職理由でよくある質問について答えていきます。疑問を解消してから、退職に踏み切りましょう。

40代や50代で退職理由は変わる?

令和3年上半期雇用動向調査結果の概況によると、40代〜50代のミドル世代で多い転職理由は、次のようになっています。

  • 人間関係が好ましくなかった
  • 能力・個性・資格が活かせなかった
  • 労働条件・時間が悪かった
  • その他の個人的理由

長くキャリアを積んできた40代〜50代も、人間関係や待遇面に納得できないという理由で退職する人は多いです。若い世代と同じように自己都合による退職者も多くなっています。

それ以外の意見として、家庭の事情や会社の方針転換により、これまでと違う業務を任されたことなどが挙げられています。特に40代〜50代の女性は、介護により働けなくなったという理由が多いです。体力や記憶力が落ち始める年代でもあるので、部署が変わることに抵抗がある人も多いでしょう。

「一身上の都合」が退職理由だと問題はあるか?

個人的な理由がある場合は、退職届や履歴書の退職理由に「一身上の都合」と書いても問題ありません本当は会社都合退職なのに、一身上の都合にしてしまうと以下のようなデメリットが生じます。

  • 失業給付金がもらえる日数が短い
  • 失業給付金の開始時期が遅れる
  • もらえる退職金が少なくなる

失業給付金の給付日数は、自己都合退職の場合で90日〜150日なのに対し、会社都合の場合は90日〜330日です。さらに、自己都合退職だと2ヵ月の給付制限期間が設けられています。会社都合退職の場合は、一身上の都合と書かずに、正確な理由を記載しましょう。 

※参考元:ハローワークインターネットサービスHP「基本手当の所定給付日数」

退職理由をメールで伝えるのはありか?

どんな理由があったとしても、お世話になった上司に退職理由をメールで伝えるのはマナー違反です。退職するときに悪い印象を持たれたくなければ、上司に話し合いの時間を作ってもらい口頭で伝えましょう。退職をメールで済ませてしまうと、以下のようなリスクがあります。

  • 退職するまでに時間がかかる
  • 損害賠償を請求される

引き継ぎせずにいきなり退職した場合は、トラブルに発展する可能性があるので注意してください。ただし、メールで退職届を提出することは法律的にも問題ありません。その際もいきなり送りつけるのではなく、上司に退職の意思を伝えてから送るようにしましょう。

退職代行を使うと転職に影響はでるか?

退職代行を利用しても、業者が個人情報を流出させることはないため、転職先にバレることはありませんしかし、同じ業界内で転職する場合は、噂などで退職代行を使ったことが伝わってしまう可能性があります。

面接で退職方法を聞く企業はほとんどないので、そこまで気にする必要はありません。退職方法よりも転職理由を明確に伝えることが重要です。

まとめ

円満に退職するためには、相手に身勝手な印象を与えないように、退職理由や伝え方のマナーを把握して準備することが大切です。

転職面接で退職理由を聞かれたときも、前職への不満を言ってネガティブな印象を与えないように注意しましょう。

場合によっては、退職理由を話しても辞めさせてもらえないこともあります。今回紹介したスムーズに退職するための対策を参考にして、できる限り円満な退職を目指しましょう。