転職の志望動機の書き方・伝え方を解説|年齢・状況別に例文も紹介

初めて転職活動に取り組むにあたり「志望動機がうまく書けない」「何を意識して書けばいいの?」と、疑問や不安を感じていませんか。

転職の選考において志望動機は、数ある会社の中から「この会社に入社したい」と考えた理由を、採用担当者に伝える重要な要素です。企業が求める人材だと思ってもらうためにも、明確な志望動機を企業に合わせた内容で伝える必要があります。

この記事では転職活動が初めての方向けに、志望動機の基本的な構成失敗しないためのポイントを解説します。面接時の志望動機の伝え方や年代別・状況別の例文も挙げているため、具体的な文章が浮かびづらいときの参考にしてください。

転職における志望動機の重要性

志望動機は採用側からすると、職歴に次いで重要視されている要素といえます。志望動機を通じて「数ある会社の中から、なぜ自社に応募したのか?」を、採用側は知っておきたいと考えるからです。

例えば、志望理由が「普段から自社の商品を愛用しており、昔から働きたいと思っていた」であれば、愛着を持って長く働いてくれる可能性が高いと判断できます。

「これまでのキャリアで培った経験やスキルを活かしたい」という志望動機なら、仕事への向き合い方や働き方も分かるでしょう。つまり、自社にとってマッチした人材かを判断する要素となるのです。

また志望動機は、履歴書の中で自分の意見や意思を伝えられる唯一の要素でもあります。学歴や職歴などは変えられないからこそ、志望動機は採用してもらうためのスタート地点であり、重要な要素といえます。

転職の志望動機の構成・文字数

志望動機を文章で書く際は、読み手に伝わりやすい構成と長さを意識する必要があります。ここでは、志望動機に盛り込みたい内容と目安となる文字数を解説します。

志望動機に盛り込む内容

書き出しは「志望する理由」を端的にまとめた一文から始めると、分かりやすい文章になります。

次のパートで、志望理由をより具体的に掘り下げます。これまでの経験や実現したいキャリアを踏まえて説明し、自分だけの理由にすることも大切です。

構成の最後に持ってくるのは、入社後に自分がどのような貢献ができるかです。深く印象に残る部分となるため、経験やスキルをどう活かすのかや、理念に共感したからこそできる働き方を盛り込んで締めくくりましょう。

志望動機の文字数

文字数のルールは存在しませんが、目安は150〜300文字程度です。300文字前後であれば、30秒から1分程度で全文に目を通せるので、採用担当者に伝わりやすくなるでしょう。

盛り込む構成のパートごとに50〜100文字程度にまとめると、文字数内におさめやすくなります。

ただし、企業によってはフォーマットを指定する場合もあるため、必ずしも150〜300文字が目安とは限りません。その場合は、内容をまとめた文章の文字数を調整しながら、記入欄の8割を目安に書きましょう。

転職の志望動機で失敗しない書き方

採用担当者に伝えたい内容を理解してもらうためには、志望動機で押さえておきたいポイントが3つあります。それぞれについて詳しくみていきましょう。

転職理由と関連付けた志望動機

前職を退職した理由に志望動機が結びついていないと、採用担当者に不信感を与えることがあります。例えば「給与に納得がいかず退職した」という転職理由だった場合は、また給与に納得できずに退職する可能性を考えてしまうからです。

失敗を避けるためには、企業の持つ強みと自己の強みが一致していることが重要です。企業研究で、企業・業界・職種の3つの視点から強みを比較してみると、自分の強みと合致する部分が出てきます。この強みを元に転職のきっかけや志望動機を表現することで、転職理由と志望動機に一貫性がうまれやすくなるでしょう。

ビジネスマナーに沿った言葉選び

履歴書を書く際に注意したいのは、口語と文語の使い分けです。口語は主に会話で使われる言葉を指します。

口語に当てはまる言葉の一例は次のとおりです。

  • なので/ので
  • でも/だけど
  • けど/けれど
  • こっち/あっち/そっち
  • もっと
  • ちゃんと
  • 御社

また履歴書では、略称を使わずに正式名称で記入します。学校名や生年月日、免許のほか、バイトやスマホといった日常生活で使いがちな言葉も、正式名称を調べたうえで書くことが大切です。ビジネスマナーを守った文章になっているか、自分では判断が難しい場合は、転職エージェントなどを通じて志望動機の添削を受けるのもよいでしょう。

オリジナルな内容で志望動機を作成

「市場のシェアが大きいから」「仕事がしやすそうに思えるから」といった理由だけでは、志望動機として不十分な可能性があります。オリジナリティがないため印象が弱く、「この人を選ぼう」という気持ちになりにくいからです。

オリジナリティを出すためには、自身の経験に紐づけることが重要です。今までの人生やキャリアで起きたことと絡めて考えることで、独自性のある志望動機が作成できます。

志望動機の面接での伝え方

面接でもほとんどの場合、志望動機は必ず聞かれます。そこで、自分の言葉で分かりやすく伝えるためのポイントを3つ解説します。

志望動機は要点だけ伝える

大筋は、履歴書や職務経歴書に記載した志望動機と同じ内容にして、要点を伝えるようにしましょう。もし時間があるようなら、志望動機に記載した経験内容やスキルの補足を入れると、より伝わりやすくなります。

ただし、志望動機の丸暗記は避けたほうが賢明です。書いた内容を思い出して話そうとすると、かえって緊張して覚えた内容が飛んでしまったり棒読みになりすぎたりして、違和感が出てしまいます。

また、短時間の面接のときや「簡潔に説明してください」と言われた場合は、丸暗記では臨機応変な対応は難しいです。志望動機は要点を抽出し、1分程度の短さでも内容を伝えられるようにしておくと、緊張しがちな人でも落ち着いて対応できます。

面接官が聞き取れるスピード・大きさで話す

早口だったり声が小さかったりすると、面接官が内容を聞き取れない可能性があります。聞き取れない話し方をしてしまうと、説得力に欠ける人材と判断されるかもしれません。作り込んだ志望動機を逃さず相手に伝えられるように、ゆっくり話すことを心掛け、同じ話を繰り返さないようにしましょう。

また、近年はオンライン面接のみの企業もあります。事前にインターネット通信環境や使用するシステムの利用方法、面接を受ける場所を確認し、マイクテストもおこないましょう。普段からよく使うシステムであれば、相手企業とやり取りしても問題ないアカウントかチェックしておきます。

表情や身振り手振りで印象づけ

面接では言葉や声のトーンだけでなく視覚からの情報も重要なので、表情や身振りで印象づけることも大切です。

アメリカの心理学者である、アルバート・メラビアンが1971年に発表した論文によれば、感情が伴う会話において、聞き手は言語情報を7%だけ参考したのに対し、聴覚情報は38%、視覚情報は55%も参考にしていたと報告されています。

この調査結果が、必ずしも面接のすべてに該当するわけではありませんが、面接で表情が暗く身振り手振りもないままだと、熱意が伝わらない可能性があります。

また、オンライン面接の際は表情や身振り手振りがより重要となるため、対面の面接よりも分かりやすさを重視して、表情豊かに話すことを心がけましょう。

【年代別】転職の志望動機の例文

ここでは、志望動機の例文を年代別に挙げます。今回紹介した構成の要素や文字数、注意したい言葉遣いを踏まえた例文になっているので、1つの参考として活用してください。

20代・経理職での転職志望動機

このたびは、貴社のフレッシュな人材を重視する社風の中で、未経験から経理職を目指せる千載一遇の機会と思い、応募いたしました。

私は、新卒で入社した会社で販売を担当しており、〇年勤務したところです。日々の売上管理や報告業務を経験するうちに、経理業務に興味を持つようになり、在職中に簿記の資格を取得しました。

1日でも早く活躍できるように、これまで培ったパソコンスキルと簿記の知識を活かしていきたいと思っております。

30代・小売業での転職志望動機

貴社が新たに展開される店舗のコンセプトにとても興味を持ち、志望いたしました。

現職では店長として、運営や売り上げに関わる業務、アルバイトの教育などを担当しております。任されている店舗では〇〇を意識した売り場づくりにより、年間〇%の利益向上を果たしました。しかし、エリア全体に関わる提案はおこなえずにもどかしさを感じています。

今回、〇〇地域全体のマーケティングに携われる貴社のエリアマネージャーの募集を知り、これまでの経験を活かしてより広い範囲で活躍したい、スキルアップしたいと考えて志望いたしました。

40代・不動産業での転職志望動機

お客様の個性に応じた住宅販売を手掛けられる貴社の営業職に興味をもち、応募いたしました。

私はこれまで〇年間、不動産営業担当として、主に中古マンションの仲介販売を担当しております。お客様のニーズに合わせた対応により、年間で〇〇件の売買に携わらせていただきました。しかし「もっと柔軟に顧客ニーズに応えられる商品を販売してみたい」と感じることが増えています。

貴社は自由度の高い注文住宅販売をメインとしており、今まで以上にお客様の個性に合わせた提案ができると確信し、志望いたしました。これまでの経験を活かしてお客様のニーズを深堀りすることで、理想の家づくりに貢献していきたいと考えております。

50代・介護業界での転職志望動機

これまで運送業で物流に携わってきましたが、家族の介護をきっかけに医療の重要性を感じたのが志望した理由です。

未経験の仕事ではありますが、実際に要介護度4の家族と共に生活する中で、日常的な介護について学びを深めてきました。運送業で培われた体力にも自信があります。また若手ドライバーへの指導など、人材教育にも携わってきました。

入社した暁には、前職で培った行動力と体力を活かし、介護を必要とされる皆様の日々の生活に貢献していきたいと考えております。

 

【転職する状況別】志望動機の例文

転職理由と志望動機は、つながりがあることが重要です。しかし未経験や第二新卒、ブランクがあるなど、状況次第ではつながりが見つけにくくなることもあります。転職する状況別の例文を以下に挙げるので、参考にしてください。

未経験の業界・業種に転職する志望動機

これまで販売職として〇年間、お客様のニーズに合わせた商品の提案など、販売業務全般に携わってきました。その中でお客様のニーズを汲み取り、物事を分かりやすく伝えることに大いにやりがいを感じたことをきっかけに、営業職へ転職を希望しております。

今回、貴社が未経験者の募集を出したのを拝見し、応募しました。幅広い業種との取引実績と、ロールプレイによる営業職の実践的なトレーニングに魅力を感じております。これまで販売職として培ったコミュニケーション力を活かして積極的に取り組み、早期に戦力となれるよう努力いたします。

第二新卒として転職する志望動機

新卒で入社した会社で営業職として、2年間勤務してきました。営業をおこなう中で介護を必要とされるお客様と会うことが多く、スムーズに会話するために介護に関する用語を調べ始めたことをきっかけに、これからの時代は介護が必須だと感じ、今回貴社を志望しました。

営業職では、その人が商品を必要とする背景や体の動きをよく観察し、提案を行っています。その結果、売上成績トップの成果につながりました。この観察力と提案力を活かし、介護やサポートをしていきたいと考えております。

ブランクがある転職での志望動機

前職で輸入雑貨の販売店に勤務したことをきっかけに、英語での取引や交渉に対応できるように英語力を身につけるべく、〇〇へ留学しておりました。留学中は「英語のみを使用する」ことを目標に掲げ、実践的な英語力が身についています。

今回、貴社が輸入インテリアの販売職を募集しているのを見て、英語力を活かして働ける職場と考え志望いたしました。前職の輸入雑貨販売店で培った海外ブランドへの知識も活かし、貴社に貢献していきたいと思います。

転職で志望動機を作成するときの疑問

採用を目指して転職活動を行う際は、スピード感も大切です。ここで、志望動機を作成する際のよくある疑問を解消していきましょう。

志望動機が思いつかないときはどうするか?

自分で取り組める対策をすべて行っても志望動機が完成しない場合は、転職エージェントを利用してみましょう。

専門家から自己分析や志望動機に関するアドバイスを受けることで書きやすくなります。プロの添削を受ければ、自信をもって志望理由をアピールできるでしょう。

新卒のときの志望動機となにが違うか?

転職と新卒の志望動機において、構成や大切にしたいポイントは変わりません。しかし実務で経験やスキル、ビジネスマナーを身につけている点が異なります。

せっかく積んだ経験を過小評価せず、志望動機に活かすことが大切です。

まとめ

志望動機は「なぜ興味を持ったのか」を企業に明確に伝える重要な要素です。自分の考えを示せるように構成や言葉遣い、文字数にも注意しつつ、企業研究を重ねてその企業に合う志望動機を書いていきましょう。

しかし、どんなに対策を重ねても自分が書く以上は、視点が独りよがりになってしまうこともあります。転職エージェントへ依頼して志望動機の添削してもらうなど、第三者の手を借りるのもおすすめです。

自信をもって提出できる志望動機を書き上げて、採用担当者にアピールしていきましょう。