初めての転職活動で「自己PRは新卒と同じように考えればいいの?」「何を自己PRに書けばよいか分からない」と困っている人もいるでしょう。
転職における自己PRは「どのような職務を経験してきたのか」や「培った経験・スキルで何ができるのか」を、企業に伝える場です。
採用したいと思ってもらうためには、自己PRで入社後の活躍がイメージできるような文章を考える必要があります。
そこでこの記事では、採用する企業に強みを伝えやすい自己PRの書き方を解説します。転職先や状況別の例文、完成度の高い自己PRを作りこむ方法も紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
Contents
転職の自己PRの基本構成
自己PRはこれまでの経験や行動、実績から、あなたの強みをわかりやすく伝える必要があります。ここでは自己PRの構成について解説します。
自分の強み
まず、応募企業が求める人材像にマッチするような「自分の強み」を述べましょう。
注意したいのが、強みを長所と混同してしまうことです。強みとは、企業にとってメリットになる自分の性質や保有するスキルを指します。
長所は自分の中で優れている部分ではあるものの、必ずしも企業側の採用メリットに直接つながりません。したがって両者を混同すると、的外れな自己PRになってしまうこともあるので要注意です。
経験や行動による実績
次に、自分の強みを裏付ける具体的なエピソードを記載しましょう。
基本的に、採用担当者とあなたは初対面のはずです。自分のことを知らない人にエピソードを説明する際は、ストーリー性を意識すると伝わりやすくなります。
「こういう課題があった」から「自分はこのような考えのもとに行動した」、そして「このような結果が得られた」と書いていきましょう。ストーリーの中で、自分の考え方や仕事に向き合う姿勢も盛り込めるでしょう。
さらに、成果をわかりやすい数字で説明できると、より採用担当者にインパクトを与えやすくなります。
採用されたら貢献できること
最後に、強みを活かして採用後にどう会社に貢献しようとしているのかを書いて締めましょう。
複数社に応募する際に、同じ強みをアピールすることは問題ありませんが、全く同じ言葉を使うことは避けてください。企業によって求められる能力は異なり、同じ業種でも採用条件が違うためです。
転職向けの自己PRを作成する流れ
ここでは転職向けの自己PRを作成する流れを解説します。
これまでの仕事の経験や実績を洗い出す
まずは、これまでの仕事の経験や実績、資格を書き出します。チームで何かを成し遂げた場合は、自分がどのような立ち位置で関わったのかも書き出してみてください。
ポイントは些細な業務や経験に思えても、とりあえず書き出してみることです。
応募先の企業に合った経験・実績に絞る
これまでの経験や実績を洗い出したら、PRするトピックを選定します。その際、企業が募集する人材像にリンクするトピックに絞ることが大切です。
企業が求める人材像をつかむためには、募集要項の読み込みが重要です。募集要項には入社後の業務や社員としての在り方など、求められる能力が記載されていることが多いです。求められる能力やスキルがあることを示す経験・実績を、1〜3個だけ選び抜きましょう。
基本構成に沿って自己PRを作成
選び抜いた経験・行動と、応募先の企業が求める人材像をもとに、自己PRを作成します。面接の際にも自己PRを聞かれることがありますが、1分以内に人間が話せるのは350文字程度と言われているので、その分量を目安にしましょう。
できあがったら実際に声に出して読んでみてください。1分間程度に収まっていれば、面接でも慌てずにすみます。
【業種別】転職の自己PRの例文3選
ここでは同業種に応募すると仮定して、転職の自己PRの例文を3つ紹介します。
事務職に転職する場合
項目 | 例文 |
これまでの経験・行動 | 私の強みは、正確な書類処理と事務作業の生産性向上です。 |
経験や行動による実績 | 前職では書類作成におけるミスの情報を収集し、マニュアル化をおこないました。ミスが起きた際には事務職のメンバー間で共有。作業手順の改善やチェック項目の見直しをおこない、書類作成のミスと工数削減に貢献できました。 |
採用されたら貢献できること | 貴社の業務においても書類処理の正確性を確保しつつ、生産性向上へ取り組んだ経験は活かせるものと考えています。 |
営業職に転職する場合
項目 | 例文 |
これまでの経験・行動 | 私の強みは提案力です。これまで〇〇に携わる営業職として、主に新規顧客に対し自社サービスの提案をおこなってきました。お客様の悩みや心配事は千差万別です。その悩みに適した自社サービスの提案がおこなえるように、今後の事業のビジョンや検討しているビジネスについて伺うことに重きを置いてきました。 |
経験や行動による実績 | また、実際にサービスを活用されると想定される現場に足を運び、リサーチを欠かさないように心がけています。その結果、直近1年では営業担当20名の中で2位の成果を残しています。 |
採用されたら貢献できること | この提案力を高めるために行動を起こし、ヒアリングを重ねる力は、貴社の営業職でも活かしていけると考えています。 |
介護職に転職する場合
項目 | 例文 |
これまでの経験・行動 | 5年間、特別養護老人ホームに勤務しています。体調が急変される方も多く、介護するうえで小さな変化も見逃さないように、施設全体でより良いサービスを提供できるよう尽力したことが、自身の強みと考えています。 |
経験や行動による実績 | 以前、入居者している方の身体に見られた小さな変化が、あとで急変の兆候だったと判明し、大変ショックを受けました。それから、少しでも疑問やいつもと違うと感じたことは、積極的に職員間で共有できるように働きかけ、コミュニケーションの取りやすい環境を作ることに尽力しています。 |
採用されたら貢献できること | 前職で培った経験を活かし、利用者様がより安心して過ごせるような介護を追求していきたいと考えています。 |
【状況別】転職の自己PRの例文3選
状況によっては、PRできるスキルや実績がないと感じることもあるでしょう。その場合は、これまでの経験で得られた学びや、前向きに取り組んだ姿勢をアピールできないか考えてみましょう。
ここでは状況別に自己PRの例文を3つ解説します。
未経験の業界・業種に転職する場合
項目 | 例文 |
これまでの経験・行動 | 私の強みは前職で培った、チームを巻き込んでお客様の問題を極力解決しようと努力する積極性です。 |
経験や行動による実績 | 担当するエリアでは、繁忙期になるとバックオフィス業務の負担が大きくなっていました。お客様をお待たせすることにもつながるため、チームを巻き込んで残業時間の減少と、バックオフィス業務の効率化に乗り出しました。チーム内で書類やシフト管理のデジタル化をスモールステップで開始し、その成果を持って本社に提案。結果として、バックオフィス業務が効率化され、繁忙期も以前よりゆとりある業務が可能になっています。 |
採用されたら貢献できること | この積極性を活かし、未経験の業種である貴社の事業にも1日でも早く慣れ、貢献していきたいと考えています。 |
第二新卒として転職する場合
項目 | 例文 |
これまでの経験・行動 | 私の強みは大学卒業後に就いた〇〇の営業で培った、お客様の話をじっくりと聴きこむ傾聴の姿勢です。 |
経験や行動による実績 | 先輩より、お客様の要望をじっくりと聴きこむことが営業の第一歩と教えられ、傾聴の姿勢を大切に仕事を進めてきました。その結果、求められている商品を把握できるようになり、売上目標の110%を達成できました。また、お客様からは「いつもしっかりと話を聞いてくれてるから、必要とするものをこちらも明確にできる」という言葉をいただけたことで、大きなやりがいを感じています。 |
採用されたら貢献できること | この強みは、今回応募した医療機器営業の業務において、信頼のある関係性構築や担当施設に不足しているものの把握にも役立てられると考えています。 |
転職までにブランクがある場合
項目 | 例文 |
これまでの経験・行動 | 前職は、社員数200名ほどの会社で営業事務として働いていました。妊娠後、育児のために退職して3年のブランクがあります。 |
経験や行動による実績 | より事務スキルを高めたいと考え、この1年間で日商簿記2級を取得しました。また、近所のパソコンスクールに通い、アップデートされたExcelなどの機能にも慣れるように、スキル習得に努めています。 |
採用されたら貢献できること | 育児によるブランクはありますが、その間に培ったパソコンスキルや資格を活かし、貴社に貢献していきたいと考えています。 |
転職で自己PRを作り込むポイント
想いを伝える自己PRづくりに、特別な経験やスキルが必須なわけではありません。今すぐ取り組める自己PRを作りこむポイントを解説します。
応募する企業を研究
事業内容や社風、業界内でどのような立場なのかについて、応募先の企業情報を調べましょう。情報を収集することで、企業が抱える課題や求めている人材にマッチするPRを作ることができます。
企業研究するためには、転職サイトの募集内容や公式ホームページのチェックから始めましょう。インターネットや新聞で調べてニュースを集めるのも効果的です。
応募企業ごとに自己PRを変更
ここでいう自己PRの変更とは、同じ文面を使い回さないということです。応募先の企業で役立つと判断できれば、同じ経験や実績を使った自己PRを書いてもかまいません。
しかし企業が変われば、抱えている課題や貢献できる内容も違うはずです。企業研究で得た情報に合わせて自己PR文を書き換えれば、採用担当者にも熱意を伝えることができます。
また、インターネット上にはたくさんの自己PRサンプル文があります。参考にして使う分にはよいものの、そのまま使うと汎用性が高い内容と受け止められかねません。他社へ提出した自己PRのコピーを疑われるリスクがあり、採用確率を下げることにもつながるため、必ず自身の言葉で自己PRの文面を考えましょう。
自己PRの添削を受ける
完成した自己PR文の完成度を高めるためにも添削を受けてみましょう。自分では完璧だと思った自己PR文も、転職に精通したエージェントや採用担当者が見ると、よりよくできるポイントや求人の見送りにつながる箇所が見つかるかもしれません。
また、家族や友人ではない第三者に読んでもらうことで、他人が読むとどう感じるのか意見をもらえます。添削を受けたことで、面接時などに自信をもって自己PRできるのもメリットです。
自己PRの添削サービスを利用する際は、添削後に文章が返ってくる日程を確認しましょう。近年、自己PRをWebで提出する企業も増えていますが、郵送のみのところもあります。その場合は、郵送にかかる日数を考慮して送付することが大切です。また万が一に備えて、原本は自分の手元に残しておいてください。
転職の自己PRでよくある疑問
ここでは転職の際に自己PRを作るうえで、よくある疑問をまとめました。
長所となにが違うのか?
自己PRは「企業視点で見たときの自分が持つ経験やスキル的な強み」を伝えることが目的です。一方、長所は「自分自身の性質や人柄」を示します。
そもそも企業が長所を聞く理由は、企業視点で見たときに他の従業員との相性や自社の雰囲気とマッチしているかを、判断する際の参考になるからです。的確に長所を理解している人材であれば、自分の良いところや悪いところに自覚的という判断も下せます。
したがって、面接で「貴方の長所はなんですか?」と聞かれた場合は、企業側へ自分を採用するメリットを伝えるのではなく、自分の人柄や性質を尋ねられていることを前提として回答する必要があります。
面接の自己PRで短所を聞かれたらどうする?
そもそも、自己PRで短所を聞かれる理由から考えてみましょう。企業が短所について質問するのは、「自分を客観視できているか」「短所をカバーする取り組みをしているか」などを見極めたいからです。
短所を聞かれたら、長所の裏返しが短所だと意識して伝えてみましょう。例えば「何事にも興味を持てること」が長所であれば、短所は「飽きっぽいところ」と言いかえられます。しかし飽きっぽいと伝えるだけでは、長続きしない人材と判断されてしまうかもしれません。
そこで「多くのことに興味を持つ性質を活かし、気になった店舗やサービスはすぐに調べ、実際に現地に足を運ぶなど経験を積むチャンスにしています」など、短所をカバーする工夫をあわせて伝えましょう。
自己PRは書類と面接で同じ内容でも大丈夫?
書類と面接、どちらでも同じ内容を話してかまいません。逆に異なる内容を伝えてしまうと、採用担当者に不信感を持たれてしまいます。人物像がはっきりするように、自己PRは一貫した内容を伝えたほうがよいでしょう。
ただし、自己PRの丸暗記は避けることをおすすめします。自己PRは書き言葉(文語)で書かれることが多く、話し言葉(口語)ではありません。そのため丸暗記して伝えても、かえって採用担当者に響かない言葉になってしまうからです。
採用担当者によっては、書かれた内容を掘り下げることもあります。あらかじめ想定して、書類に書ききれなかったエピソードを補強しつつ、具体性のある話し方をすると効果的です。
まとめ
自己PRは自分が就職した後に、活躍する様子を企業側に具体的に思い描いてもらえるチャンスです。効果的な自己PRを作成するために強みや実績を細かく書き出し、端的に言い表せるように準備しましょう。
完成度の高い自己PRを書くためには、自己分析を進めて自分の強み・弱みと長所・短所を把握することも大切です。
どうしても書き出せなかったり、書いたものの中身が不安に感じたりした場合は、自己PRの添削サービスも活用してみましょう。転職エージェントに依頼して、自己分析からサポートしてもらうのも手です。効果的に自己PRして内定獲得につなげていきましょう。