離婚時の財産分与は、今後の2人の関係にも影響する悩ましい事項です。
持ち家がある場合は、「売却して現金を分けた方が良い?」「一方が住み続ける場合のローンはどうなる?」など、不安は尽きないでしょう。
本記事では、財産分与の概要から家の査定の必要性、査定の種類、査定依頼の方法まで詳しく解説します。
後半では、損をしない財産分与のポイントやオーバーローン時の対策、配偶者に知られずに査定する方法なども紹介するので、ぜひ参考にしてください。
この記事を読む前に、家の査定を進めたい場合は不動産一括査定サイトを活用しましょう。不動産一括査定サイトとは、複数の不動産会社に無料でまとめて査定依頼ができるサービスです。サービスの特徴や注意点などはこちらの記事をご覧ください。
Contents
離婚時の家の査定は財産分与で重要
そもそも財産分与とは
財産分与では原則、婚姻後に形成した財産を夫婦で2分の1ずつ分けます。一方に収入がなかったとしても、婚姻中に形成した財産は夫婦の協力によって築かれたものと考えるからです。
逆に、婚姻前に築いた財産や夫婦の協力が関係のない財産は財産分与の対象にはなりません。財産分与の対象・非対象の具体例は次の通りです。
【財産分与の対象となるもの】 ※いずれも婚姻後に取得したものに限る |
【財産分与の対象にならないもの】 |
・現金 ・預貯金 ・各種保険の返戻金 ・不動産 ・車 ・貴金属・骨董品・美術品等 ・有価証券・投資信託 ・退職金 ・年金 |
・婚姻前に築いた個人の預貯金等の財産(特有財産) ・特有財産から支出して得た財産 ・相続・贈与で得た財産 ・子供の預貯金(第三者名義の預貯金) |
不動産や車などのローン残債がある場合は差し引いて計算します。たとえば、家の価値が2,000万円あり住宅ローンの残債が1,500万円であれば、500万円と計算されるということです。
ただし、家の価値を残債が超過するオーバーローンの場合、残債の半分をローンの名義人ではない方にも負担させるのは難しいものがあります。この点については後半で解説します。
公平な財産分与のため離婚時に家の査定
家の価値は購入したときの額面とは異なります。建物は経年劣化によって価値が下がっており、土地の価格は変動しているからです。離婚時の価値は専門家でなければわかりません。家の価値がわからないまま財産分与してしまうと、不公平感が生まれる恐れがあるため注意しましょう。
たとえば、家の価値を1,000万円と仮定して妻が受け取り、夫がその他の財産1,000万円分を受け取って離婚したとします。しかし、本来の家の価値が2,000万円あったとすれば、夫は500万円分の権利を手放したことになるため損です。逆に家の価値が500万円しかなければ、家を受け取った妻が損をします。
一度成立した財産分与のやり直しは難しいため、離婚前に家の価値を正確に把握し、財産を公平に分けることが大切です。
家の査定が必要になる離婚のパターン
財産分与の権利を一方が断るといった特別な事情がない限り、離婚時は家の査定を依頼して評価額を確認するのがベストです。パターン別に評価額の必要性を表で記載します。
パターン | 評価額の必要性 |
家を売却して現金で財産分与する場合 | 仲介を依頼する不動産会社を選ぶ際の参考として必要。査定額が高く明確な説明のある会社を選ぶ。 |
どちらか一方が家に住み続け、一方が他の財産を多くもらう場合 | 家を含めた財産の総額を計算し、公平な財産分与の金額を検討するために必要。 |
家以外の財産がなく、どちらか一方が住み続ける場合 | 家に住み続ける側が、家の評価額相当の金額の半額(代償金)を特有財産から支払う、あるいは分割で相手に支払うための計算に必要。 |
家の頭金を一方の特有財産から支出している場合 | 購入額と頭金の割合を財産分与時に計算するために必要。 |
住宅ローンの残債がある場合 | アンダーローンかオーバーローンか判断するために必要。 |
3つ目のパターンでは家以外の財産がないため、共有財産を分与するだけでは家を受け取らない側が損をします。そのため、家の評価額相当の金額の半額を家を受け取る側の特有財産から相手に支払うことで公平な分与とします。
4つ目の頭金を特有財産から支出したパターンでは、その割合分が財産分与の対象になりません。頭金500万円を特有財産から支出して5,000万円の家を購入した場合、現在の家の評価額の10分の1が特有財産となります。評価額が2,000万円であれば200万円が特有財産になるということです。
5つ目、残債が家の評価額を下回るアンダーローンか、上回るオーバーローンか判断するのは重要なポイントです。アンダーローンであれば売却益を財産分与できますが、オーバーローンの場合はそもそも売却できないか、売却できても返済が続くため夫婦間の協議が必要になります。先述の通り、この点は後半で詳しく解説します。
〜監修者コメント〜
不動産の査定依頼なら不動産一括査定サイトが便利!
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離婚時に受ける家の査定の種類と特徴
比較項目 | 不動産会社 | 不動産鑑定士 |
料金 | 無料 | 有料(相場は20~40万円) |
売却予定 | あり | なし |
裁判・調停での有効性 | 無効 | 有効 |
不動産会社による家の査定
不動産会社の査定は営業活動の一環としておこなわれるため無料です。ただし、家の所有者(名義人)が売却を予定していることが前提条件となります。査定額を見た上で売却しない判断をするのは構いませんが、最初から売るつもりがない場合は依頼できません。
不動産会社によって査定額が異なるため、売却予定なら複数社に査定依頼して相場を把握するのがおすすめです。その中でも高い金額を提示する不動産会社は、高く売るためのノウハウを持っている可能性が高いと言えます。しかし、極端に高額かつ根拠を説明されない場合は、契約獲得のための虚偽である恐れもあるため注意しましょう。
なお、不動産会社の査定額は売り出し価格の参考に用いられますが、必ずその価格で売れるというものではありません。実際の売却額は売主と買主の交渉によって決まります。
不動産鑑定士による家の査定
家を売らない場合は不動産鑑定士に依頼しましょう。不動産鑑定士は国家資格で、不動産鑑定士による鑑定評価書は裁判・調停で有効な資料として利用できるのが特徴です。依頼料の相場は20~40万円で、不動産の価格や調査の難易度によって左右されます。
なお、この記事では便宜上「査定」と記載していますが、不動産鑑定士に依頼するのは査定ではなく「鑑定評価」です。鑑定評価は不動産鑑定士のみ認められた独占業務であり、不動産会社がおこなう査定とは異なります。
〜監修者コメント〜
家の査定を受けて財産分与で損をしないポイント
家を売却するかどうかを離婚前に検討
家を売却するか一方が住み続けるかは、離婚前に検討しておきましょう。理由は後述しますので、ここでは売却する場合と一方が住み続ける場合のメリット・デメリットを比較します。
項目 | メリット | デメリット |
家を売却する場合 | ・現金で公平に財産分与しやすい ・離婚後の夫婦間のやりとりが必要ない ・離婚後の生活費を確保しやすい ・住宅ローン残債の返済に売却代金を充てられる |
・売却できるまで夫婦間の協力が必要 ・オーバーローンの場合は売却できない恐れがある ・オーバーローンで売却できても残債の返済は続く |
一方が住み続ける場合 | ・住み続ける側の生活環境を変えずに済む | ・住み続ける側が代償金を用意できなければ揉める恐れがある ・住宅ローンの残債を出ていく側が返済し続ける場合は離婚後もやりとりが続く ・住宅ローンの残債がある場合、不動産の名義変更は難しい(固定資産税等の維持管理費も継続) |
売却する場合、アンダーローンなら売却益を現金で公平に分けられるというのが大きなメリットです。ただし、オーバーローンの場合は住宅ローンの金融機関が売却を認めない可能性があるため、売却前の相談が必須です。オーバーローンで売却する任意売却という手段もありますが、金融機関の承諾が前提であり売却額を上回る残債の返済は続きます。
一方が住み続ける場合の大きなメリットは、生活環境を変えずに済むことです。とくに子供がいる場合は転園・転校など子供への負担も軽減できます。ただし、住み続ける側が不動産・住宅ローンの名義人でない場合、金融機関が名義変更を認めない限り、出ていく側が返済や固定資産税の納税を続ける必要があります。その支払いが滞れば、住み続けている側の事情に関係なく競売になる恐れがあるため要注意です。
家の売却価格は査定結果を参考程度に活用
家の売却にかかわる金額には次の3つがあります。まずはそれぞれの違いを把握しておきましょう。
- 査定額:不動産会社の査定によって算出された物件の相場。不動産会社が売る自信のある価格。
- 売り出し価格:広告やポータルサイトに掲載する価格。査定額を参考に決める。
- 成約価格:売主と買主の双方合意の上で、売買契約で取り決める売買成立の価格。
査定額は「売れそうな価格」であり、実際の売却価格は売主と買主が合意する成約価格です。その買主を募るために広告やポータルサイトに売り出し価格を掲載します。売り出し価格の決め方は次の通りです。
売り出し価格 | メリット | デメリット |
査定額よりも安い | ・早期に売れやすい | ・買主との値下げ交渉でさらに価格が下がる恐れがある ・オーバーローンの場合金融機関が承諾しない恐れがある |
査定額よりも高い | ・買主との値下げ交渉を見越した最低売却希望額を守れる ・住宅ローン返済や生活費を確保しやすい |
・売却活動が長期化しやすい ・買主が現れず結果的に値下げせざるを得ない状況になることがある |
家の売却は離婚前
家を売却するなら離婚前、婚姻期間中におこないましょう。理由は次の通りです。
- 離婚後に売却して得た売却益は共有財産にならないため、分配すると贈与税がかかる。
- 夫婦で協力して売却活動を進める方がスムーズ。
共有名義の家で持ち分が50%ずつであれば離婚後に売却しても問題ありませんが、どちらか一方が名義人の場合、離婚後に売却すると売却益は共有財産ではなく名義人のものになります。そのため、売却益の現金を分けることは離婚後にするとしても、売却自体は婚姻期間中におこなうことが重要です。
また、売却活動期間中は書類の手配・内見対応・買主候補との商談といった、売主の積極性が求められます。どちらかが仕事や育児で動けないときは一方が対応するなど、売却活動のスムーズな進行のためには夫婦間の協力が大切です。
売却益にかかる税金は確定申告時の特別控除で軽減
家を売却して得た利益を「譲渡所得」と言い、譲渡所得税がかかります。譲渡所得の計算式は次の通りです。
この譲渡所得は毎年2月16日~3月15日に受付がおこなわれる確定申告で申請します。
譲渡所得税の税率は所有期間が5年以下なら39.63%、5年を超えていれば20.315%です(平成25年から令和19年まで)。譲渡所得税を軽減、繰り延べできる特別控除・特例・制度には次のような種類があります。
特別控除・特例・制度一例 | |
3000万円特別控除 | 売却益から最大3,000万円を控除できる。 |
軽減税率 | 所有期間が10年を超え、譲渡所得金額が6,000万円以下の場合は譲渡所得税が14.21%になる ※平成25年から令和19年まで、3,000万円特別控除と併用可 |
買換え特例 | 所有期間10年超の家を買い換えた場合に課税を繰り延べられる ※3,000万円特別控除と併用不可 |
損益通算 | 売却益がなく損失が出た場合に、給与所得・事業所得の所得から損失を差し引ける |
〜監修者コメント〜
家の査定後に仲介で売却をする流れ
①査定結果を参考に不動産会社を厳選
まずは複数の不動産会社に査定依頼をし、比較検討しましょう。査定方法には、資料に記載されている不動産情報から査定する簡易査定(机上査定)と、現地で物件を見て査定する訪問査定があります。
まずは不動産一括査定サイトなどから3~6社に簡易査定を依頼し、そのなかでも安心して依頼できそうな2~3社に訪問査定を依頼するのがおすすめです。不動産会社の選び方は、最後の項目で詳しく解説します。
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②媒介契約を結び売却活動を開始
不動産会社を選定したら、仲介を依頼するための「媒介契約」を結びます。契約には3種類あるので、目的に応じて使い分けましょう。
項目 | 一般媒介契約 | 専任媒介契約 | 専属専任媒介契約 |
複数社との契約 | 可 | 不可 | 不可 |
自己発見取引(※1) | 可 | 可 | 不可 |
契約の有効期間 | 制限なし | 3ヶ月以内 | 3ヶ月以内 |
レインズ (※2)への登録義務 | 規定なし | 7日以内 | 5日以内 |
売主への業務報告義務 | 規定なし | 2週間に1回以上 | 1週間に1回以上 |
(※1)売主が見つけた買主と不動産会社を介さずに直接売買契約すること
(※2)国土交通大臣指定の不動産流通機構のシステム。会員の不動産会社がアクセスでき、売買物件の登録や物件情報の検索、閲覧ができる。
仲介手数料の支払いは、不動産会社がみつけた買主と売買契約が成立したときです。専任媒介契約・専属専任媒介契約は複数社との契約ができないことから、不動産会社からすれば仲介手数料を得られる確率が高いため、熱心な営業活動を期待できます。
一方、一般媒介契約は複数社と契約できるため幅広い買主候補に出会える可能性は高まるものの、不動産会社にとっては仲介手数料を得られる確率が低くく熱意は下がる傾向にあります。
③内覧の対応後に売買契約
特別な事情があって物件内覧に応じられないというケースでない限りは、できる限り対応に努めましょう。物件を購入するときは内部まで見てから判断したいという人が多いからです。
内覧のときに実践したいポイントは次の通りです。
- 家の中・外ともに綺麗に掃除する(水回りを重視)
- 生活臭を抜くために換気しておく
- 照明を明るくする
- 子供やペットには外出してもらう
- 物件・物件周辺の説明ができるよう準備する
- 明るく誠実に、かつ過不足なく対応する(ついて回らない)
- 付加条件などを口約束しない
買主候補にとって家を買うことは大きな決断であり、自分の将来像を明るく描けるかどうかで判断します。そのため、住み心地が良いと思ってもらえるように見た目・臭い・雰囲気に気を配ることが重要です。また、子供やペットがいると買主候補が気を遣うので当日は外出してもらいましょう。
なお、商談前に「ハウスクリーニングをお願いしたい」「この家具もつけてほしい」など言われたとしても口約束で了承しないようにしましょう。後になって口約束を反故にすると商談が決裂する恐れがあります。
内覧を経て買主候補が物件を気に入ったら、商談と売買契約に移ります。売主と買主が取り決める事項には以下のようなものがあります。
- 売買価格(成約価格)
- 引き渡し日(1ヶ月程度が目安)
- 付加条件(設備の交換、ハウスクリーニング等)
商談がまとまり売買契約を行った後は、買主のローン審査などを経て1ヶ月を目安に引き渡します。
〜監修者コメント〜
家の査定結果でオーバーローンになるときの対処法
不足分をカバーしてから売却
家の売却益にその他の財産を加えて住宅ローンを完済する方法です。金融機関としてはローンが完済されれば問題ないため、家の売却は承認されるでしょう。
また、もう1つの選択肢として家の住み替えローンを組む方法もあります。次の家を購入する場合に利用できるローンで、現在の家の残債と次の家のローンを合算した金額の借入を行います。そのため、現在のローンは住み替えローンの借り入れで返済可能です。
家を残してローンの支払いを継続
どちらか一方が住み続け、ローンの返済を続ける方法です。ただし、ローンの名義人が住み続ける方でない場合は次のような問題を抱えることになります。
- 出ていった側が債務不履行になると、住んでいる側の事情に関係なく差し押さえ・競売になる
- 児童扶養手当の対象外になる可能性がある(離婚後も援助が続くと考えられるため)
出ていく側の債務不履行を回避するには、公正証書で住宅ローンの返済を続けることや給与の差し押さえを可能とする旨などを明記することが大切です。
ただし、住宅ローンの返済額と養育費の合計額によっては、ひとり親家庭に支給される児童扶養手当の対象外になることもあるので注意しましょう。
なお、同じ家に住み続けることが目的ならリースバックという手段もあります。これはリースバックを取り扱う不動産会社に家を売却し、賃貸物件とすることで住み続けられる方法です。売却益を財産分与できるというメリットもあります。
任意売却を選択
オーバーローンでその他の財産でも不足分をカバーできない場合は、返済遅滞後の金融機関の督促から6ヶ月で競売手続きが進められます。競売は市場価格の7割程度の金額になってしまうため、残債が多く残ることになります。それを回避する方法が任意売却です。任意売却の手順は次の通りです。
- 住宅ローンの返済遅滞が生じる
- 金融機関から督促が来る
- 金融機関に相談し、オーバーローンで売却する任意売却の承諾を得る
- 通常の売却と変わらない手段で売却する
- 売却益で住宅ローンの一部を返済し、残債の返済を続ける
返済遅滞後の督促がない限り任意売却は選択できません。
なお、任意売却でも通常の売却と同じように不動産会社に依頼して進めることになりますが、競売まで6ヶ月という期限があるため、より迅速に売却活動を進めてくれる任意売却専門の不動産会社に依頼することをおすすめします。
〜監修者コメント〜
離婚前の家の査定で気になる疑問
配偶者に知られず家の査定は可能か
財産分与の金額次第では離婚を踏みとどまったり、その後の生活費を確保してから離婚したいと考えている場合、相手に離婚を切り出すより先に家の査定額を知りたいということがあるでしょう。
しかし、不動産会社や不動産鑑定士による査定を配偶者に知られずに実行するのは困難です。まず、不動産会社や不動産鑑定士は家の名義人による依頼でない限り受け付けません。自身が名義人であった場合でも、メールのやりとりだけで済む机上査定までなら可という程度です。訪問査定となれば配偶者が家にいない日を確保する必要があります。
絶対に知られたくないという場合は、オンライン上の「AI査定」や「匿名査定」を活用しましょう。入力フォームで住所や間取りなどを入力すれば自動で相場価格を算出します。ただし、専門家の訪問による査定ほど精密ではないため、あくまでも参考程度の価格です。
不動産鑑定士はどのように選ぶか
不動産鑑定士は国家資格ですが、誰に依頼するかによって鑑定評価額には差が出ます。次のポイントを押さえて選びましょう。
- 実務経験が5年以上
- 実績が100件以上
- 売りたい家のエリアで実績が多い
- ホームページがあり料金体系が明確に提示されている
- 弁護士・司法書士・税理士などと連携できる
- 対応が親切・丁寧
なお、料金について明示されていても、変形した土地や隣地との境界が曖昧になっている土地などの場合は調査費用が増額される可能性があります。見積もりを確認して理由を尋ねましょう。
査定後はどの不動産会社で家を売却すればよいのか
複数社に査定依頼した後は、比較して仲介を依頼する不動産会社を選びます。選ぶときのポイントは次の通りです。
- 査定結果は比較的高いが、他社とも近似値
- 査定の根拠を明確に説明してくれる
- 担当者の対応が親切、丁寧、誠実
- 会社の実績が多い
- 物件のエリアに強い
査定額は高ければ高いほど良いとは限りません。他社の査定額よりもかけ離れて高い金額を提示された場合、根拠を尋ねたり他社に意見を聞いてみたりしましょう。もし根拠がなければ、査定額を信じて売り出し価格を高くしても買主が現れず、結果として値下げせざるを得なくなる恐れがあります。
また、査定額だけでなく担当者との相性や対応の速さなども大切なポイントです。連絡が遅い、質問に答えてくれないなど違和感がある場合は売却活動が停滞する可能性が高いと言えます。信頼して任せられる不動産会社を選びましょう。
〜監修者コメント〜
この記事のまとめ
公平な財産分与が離婚後のトラブルを防ぎます。その公平性を保つためには、家の査定をおこなって共有財産の総額を把握することが大切です。家を売却予定なら不動産会社、どちらかが住み続けるなら不動産鑑定士に査定を依頼し、相談することで具体的な話を進められます。
離婚後もどちらかが住み続ける場合や住宅ローンの残債がある場合はとくに、双方が合意できる内容をまとめるまでに時間を要します。選択できる手段、各種手続きの費用や段取りを確認してスムーズに進めましょう。
※この記事は不動産のお悩み編集部が提供しています。
【部門別のユーザー満足度No.1】
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※本ランキングは2022年4月クラウドワークスにて実施した利用者アンケートの満足度採点を参考にしています。(回答者:不動産一括査定サービスを利用した35人)
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